【2022年3月句会】
三月の兼題
「三月」「彼岸」「なごり雪」
なごり雪職員室の灯は消えず
パソコンの彼方は海や彼岸団子
三月やポッケにさぐる柿の種
講師:佛渕雀羅
遠ざかる船に波音なごり雪
毅
お彼岸や猫が先ゆく墓参り
紫苑
兄妹がそろう彼岸でありしかな
栄
みちのくや名残の雪のグルメ旅
寿江
三月や風に吹かれて袴の娘
圭子
三月や第二ボタンの縁結び
まちこ
墓石に飾る花なき彼岸かな
詠子
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【2022年2月句会】
二月の兼題
「春雨」「凧揚げ」「うぐいす餅」
凧揚げの糸のふるへを分かちあふ
春雨の中やコロナの家族葬
手水舎(てみずや)はうぐいす餅を食うた手も
講師:佛渕雀羅
凧あげを孫に教えるビッグボス
毅
いつも行くいつもの店のうぐいす餅
紫苑
高々と凧昇りけり雪野原
朝子
空深し大凧の寅上がりをり
寿江
凧揚げや世代交代やっこ凧
栄
春雨や去りゆく君と歩くみち
圭子
臨月の春雨を踏むローヒール
淳子
凧揚げや飛んでいきそう五輪の巣
まちこ
凧揚げや世代交代やっこ凧
詠子
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【2022年1月句会】
一月の兼題
「年変る」「屠蘇(とそ)」「門松」
夕風に門松らしきものの揺れ
年変るその一瞬にある叫び
屠蘇散のレシピを朝の読み初め
講師:佛渕雀羅
年変わり一人暮らしもおつなもの
久枝
次々と祝いさかずき屠蘇をトス
毅
初雀庭木に集い何喋る
紫苑
年変る何も変わらぬ日々送る
朝子
福引の一回転や空回り
聖夫
空青し厄除屠蘇の列につく
寿江
門松や玄関飾る百均力
圭子
年変る時に遠くの人想う
淳子
盃やいつになく父屠蘇奉行
まちこ
門松の印刷風にひらひらと
詠子
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【2021年11月句会】
十一月の兼題
「小春日」「蜜柑」「冬眠」
たわわなる蜜柑に籠もる人の影
栴檀のぶらんこ揺れている小春
冬眠をするものたちに漏れし虫
講師:佛渕雀羅
どこまでもつづく散歩の小春かな
久枝
小春日や久方ぶりの外ランチ
毅
蜜柑皮湯船に入れてたおやかに
紫苑
箱買いのみかん炬燵で食べにけり
朝子
頑張れば無言のセリフ敬老会
聖夫
眺むれば海と駅舎の櫁柑山
寿江
目を合わせまたねと蛙冬眠に
栄
古本や昭和のしおり皮蜜柑
圭子
伸びきったネコそのままにみかんの木
淳子
小春日や太陽の塔風の丘
まちこ
小春日にウッドデッキの席探す
詠子
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【2021年10月句会】
十月の兼題
「金柑」「新蕎麦」「夜寒」
夕風に金柑の実のゆうらりと
古書の香に新蕎麦神田神保町
夜寒かな虫歯に病んでゐたニーチェ
講師:佛渕雀羅
新蕎麦を食べて故郷想うかな
久枝
宿題を母の縫いいる夜寒かな
毅
救急車音迫り来て夜寒かな
まり子
気休めに金柑食べて風邪予防
朝子
夜寒かな猫はかいなにまどろみぬ
聖夫
金柑の実の七つつく鉢を買う
寿江
友帰り夜の寒さの戻り来る
栄
金柑や富と幸せ願う色
圭子
新蕎麦やでこぼこ道を歩き出す
淳子
白鷺の夜寒に立てる野川縁
まちこ
金柑や月の丸さと比べっこ
詠子
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【2021年9月句会】
九月の兼題
「こおろぎ」「桃」「盆踊り」
俎板を嗅ぐ蟋蟀(こおろぎ)の降り来たり
桃の実の重きに崩れゆくキネマ
盆踊り声に始まる人の恋
講師:佛渕雀羅
盆踊り子供抱きしめ踊るパパ
久枝
輪の中に母の影あり盆踊り
毅
やわらかきこおろぎ鳴けど我一人
まり子
風邪引いて食べた桃缶思い出す
朝子
こおろぎや盲の僕の胸で哭け
聖夫
虫声の駐輪場となりにけり
寿江
静かなる母でありしが盆踊り
栄
コオロギや夜鳴き始まる犬の老い
圭子
吾子の剥く桃ぐしゃぐしゃになりにけり
淳子
桃の香や漂う乙女キューピッド
まちこ
暗闇に光集めし盆踊り
詠子
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【2021年7月句会】
七月の兼題
「うちわ」「香水」「草いきれ」
呼び止めるコロボックルも草いきれ
香水の名もさまざまに姉の恋
音立てぬ団扇の動く映画館
講師:佛渕雀羅
高尾山登りてあおぐウチワかな
久枝
香水の残り香こもるエレベータ
毅
草いきれ夫と歩いた高麗の道
まり子
昼寝時うちわ煽いで子を寝かす
朝子
香水は佇む母の風のごと
聖夫
草いきれしなきゃ良かったかくれんぼ
多恵
子の昼寝物音遠く渋うちわ
寿江
店先にどうぞと置いてあるうちわ
栄
草いきれ兄と並んで田舎道
圭子
ワクチンの跡にうちわの風送る
淳子
コロナ禍や団扇で予防口と距離
まちこ
香水に愛しき人を探しけり
詠子
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【2021年6月句会】
六月の兼題
「ひまわり」「冷房」「西瓜」
向日葵に人声のある夜明けかな
刃を入れて張りつめしもの解く西瓜
両腕を撫して出てゆく冷房車
講師:佛渕雀羅
我よりも高き向日葵夕日中
久枝
ひまわりとせいくらべする子供かな
毅
ひまわりの中彷徨いて出口何処
まり子
茅葺きの南北開けて冷房に
朝子
冷房や猫のためには弱とせり
聖夫
スイカ割り目隠しなくても楽しめる
多恵
影伸ばす向日葵地蔵夕影に
寿江
頬に種つけて西瓜を食べる子ら
栄
ひまわりと子の背比べし社宅かな
圭子
ひまわりの少し下向く道の端
淳子
ひまわりやいつも前向きコンサート
まちこ
声援に足がよろける西瓜割り
詠子
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【2021年5月句会】
五月の兼題
「新茶」「母の日」「夏めく」
夏めくやマイクが咳を拾ふ駅
たんねんに墨摺り終へて新茶かな
母の日やワイングラスに梅の青
講師:佛渕雀羅
隔ててもともに味わう新茶かな
久枝
夏めくやサンダル履いている素足
毅
母の日にいつも送った夜の梅
まり子
東京へ出て知る母の日は遠し
朝子
新茶畑光のなかの波蒼し
聖夫
ハンカチを染める新茶に笑みこぼれ
多恵
母の日や思ひ叶はぬ旅行券
寿江
仏壇の向こうの君に新茶かな
圭子
母の日や供えしゼリー透き通る
淳子
コロナ禍にホットひと息新茶の香
まちこ
半身を緑に染めて茶摘み人
詠子
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【2021年4月句会】
四月の兼題
「ゆく春」「蜜蜂」「チューリップ」
ゆく春や猫に捨つべき過去あまた
蜜蜂の帰りそびれし湖の風
バナナ剥くやうに崩るるチューリップ
講師:佛渕雀羅
ゆく春や片道切符我も又
久枝
蜜蜂や蜜を求めてどこまでも
毅
チューリップ側で黒猫ころりころ
まり子
富山より朝のテレビのチューリップ
朝子
ゆく春を惜しまず我は病床に
聖夫
この家に咲く折紙のチューリップ
多恵
蜜蜂やコロナ知らずの蜜集め
寿江
ゆく春や人は去りゆくシャボン玉
圭子
ミツバチの羽音の中や坂の上
淳子
蜜蜂やコロナの街をまっすぐに
まちこ
稚児の絵は背丈と同じチューリップ
詠子
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