かもめ句会作品集(2021年度)

 

【2021年10月句会】

十月の兼題
「金柑」「新蕎麦」「夜寒」

夕風に金柑の実のゆうらりと
古書の香に新蕎麦神田神保町
夜寒かな虫歯に病んでゐたニーチェ
講師:佛渕雀羅

新蕎麦を食べて故郷想うかな
久枝

宿題を母の縫いいる夜寒かな

救急車音迫り来て夜寒かな
まり子

気休めに金柑食べて風邪予防
朝子

夜寒かな猫はかいなにまどろみぬ
聖夫

金柑の実の七つつく鉢を買う
寿江

友帰り夜の寒さの戻り来る

金柑や富と幸せ願う色
圭子

新蕎麦やでこぼこ道を歩き出す
淳子

白鷺の夜寒に立てる野川縁
まちこ

金柑や月の丸さと比べっこ
詠子

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【2021年9月句会】

九月の兼題
「こおろぎ」「桃」「盆踊り」

俎板を嗅ぐ蟋蟀(こおろぎ)の降り来たり
桃の実の重きに崩れゆくキネマ
盆踊り声に始まる人の恋
講師:佛渕雀羅

盆踊り子供抱きしめ踊るパパ
久枝

輪の中に母の影あり盆踊り

やわらかきこおろぎ鳴けど我一人
まり子

風邪引いて食べた桃缶思い出す
朝子

こおろぎや盲の僕の胸で哭け
聖夫

虫声の駐輪場となりにけり
寿江

静かなる母でありしが盆踊り

コオロギや夜鳴き始まる犬の老い
圭子

吾子の剥く桃ぐしゃぐしゃになりにけり
淳子

桃の香や漂う乙女キューピッド
まちこ

暗闇に光集めし盆踊り
詠子

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【2021年7月句会】

七月の兼題
「うちわ」「香水」「草いきれ」

呼び止めるコロボックルも草いきれ
香水の名もさまざまに姉の恋
音立てぬ団扇の動く映画館
講師:佛渕雀羅

高尾山登りてあおぐウチワかな
久枝

香水の残り香こもるエレベータ

草いきれ夫と歩いた高麗の道
まり子

昼寝時うちわ煽いで子を寝かす
朝子

香水は佇む母の風のごと
聖夫

草いきれしなきゃ良かったかくれんぼ
多恵

子の昼寝物音遠く渋うちわ
寿江

店先にどうぞと置いてあるうちわ

草いきれ兄と並んで田舎道
圭子

ワクチンの跡にうちわの風送る
淳子

コロナ禍や団扇で予防口と距離
まちこ

香水に愛しき人を探しけり
詠子

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【2021年6月句会】

六月の兼題
「ひまわり」「冷房」「西瓜」

向日葵に人声のある夜明けかな
刃を入れて張りつめしもの解く西瓜
両腕を撫して出てゆく冷房車
講師:佛渕雀羅

我よりも高き向日葵夕日中
久枝

ひまわりとせいくらべする子供かな

ひまわりの中彷徨いて出口何処
まり子

茅葺きの南北開けて冷房に
朝子

冷房や猫のためには弱とせり
聖夫

スイカ割り目隠しなくても楽しめる
多恵

影伸ばす向日葵地蔵夕影に
寿江

頬に種つけて西瓜を食べる子ら

ひまわりと子の背比べし社宅かな
圭子

ひまわりの少し下向く道の端
淳子

ひまわりやいつも前向きコンサート
まちこ

声援に足がよろける西瓜割り
詠子

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【2021年5月句会】

五月の兼題
「新茶」「母の日」「夏めく」

夏めくやマイクが咳を拾ふ駅
たんねんに墨摺り終へて新茶かな
母の日やワイングラスに梅の青
講師:佛渕雀羅

隔ててもともに味わう新茶かな
久枝

夏めくやサンダル履いている素足

母の日にいつも送った夜の梅
まり子

東京へ出て知る母の日は遠し
朝子

新茶畑光のなかの波蒼し
聖夫

ハンカチを染める新茶に笑みこぼれ
多恵

母の日や思ひ叶はぬ旅行券
寿江

仏壇の向こうの君に新茶かな
圭子

母の日や供えしゼリー透き通る
淳子

コロナ禍にホットひと息新茶の香
まちこ

半身を緑に染めて茶摘み人
詠子

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【2021年4月句会】

四月の兼題
「ゆく春」「蜜蜂」「チューリップ」

ゆく春や猫に捨つべき過去あまた
蜜蜂の帰りそびれし湖の風
バナナ剥くやうに崩るるチューリップ
講師:佛渕雀羅

ゆく春や片道切符我も又
久枝

蜜蜂や蜜を求めてどこまでも

チューリップ側で黒猫ころりころ
まり子

富山より朝のテレビのチューリップ
朝子

ゆく春を惜しまず我は病床に
聖夫

この家に咲く折紙のチューリップ
多恵

蜜蜂やコロナ知らずの蜜集め
寿江

ゆく春や人は去りゆくシャボン玉
圭子

ミツバチの羽音の中や坂の上
淳子

蜜蜂やコロナの街をまっすぐに
まちこ

稚児の絵は背丈と同じチューリップ
詠子

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