“りんくる中野”は・・・
「耳で読む」を「音訳」で支援します!
2011年、特定非営利活動法人中野区視覚障害者福祉協会(以下、中視協)が、視覚障害者への情報提供のデジタル化を推進するために、中野区で活動している音訳者(音訳、については後述します)に協力を呼びかけ“りんくる中野”というグループを立ち上げました。“りんくる”には、リンクする、そして輪になるという意味が込められています。
現在は、「声のなかの区報」をはじめとする各種広報誌、他の団体や個人からの依頼による録音図書、そのほか電気機器のマニュアルなどといった生活に密着した情報の音声版の製作をしています。
2021年度、2022年度には新たに音訳者を募集し、コロナ禍の中、リモートや少人数で養成研修を実施し、現在も各人のレベルに合わせて研修を続けています。
りんくる中野の活動について詳しくは「りんくる中野活動報告」をご覧ください。
音訳って?
音訳とは、障害によって「視覚」から情報を得ることが難しい方(読書困難者)のために、文字を声に出して読み、目で見る情報を耳で聞く情報に変えていくことです。文字だけでなく、写真やイラスト、グラフや表なども説明文を作成して読んでいきます。
声に出して文字を読む、ことには「朗読」もありますが、朗読は芸術としての側面がある一方、音訳は情報提供と位置付けられます。従って視覚から得る情報と同量の情報提供をめざし、原本になるべく忠実に、すべてを音声化することを目指します。
録音図書製作の手順
- パソコンにマイクなどを接続し、録音図書製作ソフトを使って録音します。
- 録音図書製作ソフトを利用し、録音した音声データにページをつけたり、章や見出しごとに検索もできるように編集します。これを「デイジー(DAISY)編集」といいます。
*DAISYとは Digital Accessible Information Systemの略で、日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。デジタル録音図書の国際標準規格で、録音図書はさまざまな国と相互利用ができます。 - 完成したデータをCDやメモリーカードなどにコピーして、利用者の方々にお届けします。
*デイジー編集された音声データを聞くには専用の再生機が必要ですが、りんくる中野では専用の再生機をお持ちでない方にもお聞きいただけるよう、音楽CDの再生機でも聞けるCD版も製作しています。
「サピエ」ダウンロードサービス開始
2017年、中視協は「著作権法第37条第3項に係る文化庁長官の指定団体」として認定を受け、サピエ(*)に団体登録をして、中視協の会員や、利用登録をしている方々を対象にダウンロードサービスを開始しました。そのサービスの窓口をりんくる中野が担当しています。
2021年度は3名の方に28タイトル、2022年度は20タイトルを提供しています。今後はこのサービスを更に広めていくこと、また、りんくる中野で製作した録音図書をサピエにアップロードする準備を進めていきます。
*サピエとは視覚障害者及び視覚による表現の認識が困難な方々に対して点字、デイジーデータ(音声デイジーデータ約10万タイトル以上)をはじめ、暮らしに密着した地域・生活情報などさまざまな情報を提供するWeb上のネットワークです。日本点字図書館がシステムを管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営を行い、視覚障害者等の個人登録利用者約19,000人が直接利用しています。また、全国の視覚障害者情報提供施設(点字図書館)や公共図書館、ボランティア団体、大学図書館、視覚特別支援学校など440を超える施設や団体が加盟して、約80,000人以上の視覚障害者、そして情報を必要とする多くの方々への情報サービスを行っています。https://www.sapie.or.jp/
「テキスト化」への取り組みを開始
「テキスト化」とは、活字の資料やPDF形式などの画像データを、テキストデータに変換することをいいます。このテキストデータをパソコンの合成音声ソフトに読み上げさせることにより、視覚障害者や、その他の理由で活字での読書が難しい方も利用できます。
この汎用性の高さ、点字や音声に比べて製作所要時間が短いこと、また、テキストをコピーして利用することができる点などから、学校の教科書や各種教材、論文資料や家庭で必要な取扱説明書など、さまざまなものに対して、テキスト化のニーズがあり、災害時における情報の伝達手段としても期待されています。
りんくる中野では、2023年3月からテキスト化への取り組みを開始。テキストデータの製作・提供実績が豊富な団体からご指導、ご協力をいただき、アメリカ人留学生の教科書のテキスト化を開始しました。並行して、勉強会や未経験のメンバーへの説明会を実施。今後は、緊急時にも素早く対応できるよう、活動を続けていきます。