「俳句教室「かもめ句会」」カテゴリーアーカイブ

かもめ句会作品集(2019年度)

【2020年3月句会】

兼題
「つばめ」「落第」「雛あられ」

ふさぐ人ゐぬかと見舞ふつばめかな
落第は一生モノや逆上がり
雛あられ最後は鼻に乗せてゐる
講師:佛渕 雀羅

母つばめ飛んでおいでと手まねかな
久枝

卒アルの落第生のにきび顔

落第だ顔一面に書いてあり
まり子

春休みの山に遊び落第す
朝子

ひなあられなき戦時下のひな祭
聖夫

幼児やもろ手につかむ雛あられ
寿江

仏壇にかわいさそえる雛あられ
千代子

電線を鳴らす風ありつばめ来ず

雛あられ甘酒兄と酌み交わし
圭子

雛あられこぼして踏んで足上げる
淳子

燕鳴く親指姫に蓮の糸
まち子

礼服を着こなしてくるつばめかな
詠子

【2020年2月句会】
兼題
「寒明け」「梅林」「猫の恋」

鴉らに寒の明けたる歌舞伎町
猫の恋なりしをテレビふさぐ尻
風尖る梅林に身を固くして
講師:佛渕 雀羅

寒のあけ改札するり抜けられた
久枝

一人聞く夜通し続く猫の恋

飼い主に知らんふりする猫の恋
まり子

梅の木に小鳥来ている隣家なり
朝子

オペひろまり静かに過ぎる猫の恋
聖夫

寒明けや広場のベンチ空はなし
寿江

猫の恋こよいしずかに始まりぬ
千代子

路地先に足揃え待つ猫の恋

ぬか雨やジャズにスィング寒明くる
圭子

ふたつ咲く抱っこの頬の梅林
淳子

梅林や天女羽衣蜜の糸
まち子

【2020年1月句会】
兼題
「初風」「雑煮」「初夢」

初風や潮の香りに染まる指
初夢の中でも読めぬ文字が増え
パソコンの騒ぎに昼の雑煮かな
講師:佛渕 雀羅

お雑煮をそなえ我もまた食べる
久枝

飛魚出汁を義母に教わる雑煮かな

初風やきらめく海の下田港
まり子

初夢の続き楽しむ八十路かな
朝子

元旦の新聞少年幸あれかし
聖夫

初風や和服姿の二人連れ
寿江

初夢に父母そろう朝かな
千代子

卓袱台の雑煮待つ子の橋の音

初夢のゴルフコンペにかっ飛ばす
圭子

早起きの七つ並べる雑煮椀
淳子

初夢や君の瞳にスカーレット
まち子

【2019年11月句会】
兼題
「こがらし」「だいこん」「日向ぼこ」

大根や南無とも言わずまつぷたつ
木枯らしに唄ふ電動車椅子
こしかけてゐる人形のひなたぼこ
講師:佛渕 雀羅

風強し大根つけこむ母の背
久枝

飼い猫と会話を交わすひなたぼこ

抜きたての大根下げてバスに乗り
まり子

ぬか漬けになる大根の下がる軒
朝子

木枯しにピアノ弾き初むショパンかな
聖夫

蟠(わだかま)り捨てて今夜の煮大根
寿江

木枯しの道にマフラー舞っている
千代子

濡れ縁に招きし猫と日向ぼこ

煮大根ワンもペロリと味見かな
圭子

木枯しやクルクル踊る葉と子と子
淳子

木枯らしや黄昏色の君と僕
まち子

【2019年10月句会】
兼題
「いのしし」「遊糸」「椎の実」

母なくて遊糸追ひゆく故郷かな
椎の実の旅や産業道路まで
猪に一途の性や眼の哀し
講師:佛渕 雀羅

塔のへつりしぶきかぶりて遊糸かな
久枝

遊糸飛ぶ暖房器具の試運転

椎の実がコロコロ落ちる夜更けかな
まり子

山越えてきて食い荒らす猪の背
朝子

ドゴールへ遊糸眼下にAF機
聖夫

無能なり遊糸横目で一日終え
寿江

これまでの遊糸三昧終りかな
千代子

ケンケンパの白墨のあと秋夕日

遊糸あり天使の舞いは栃木空
圭子

ぴんと張る遊糸に強きところあり
淳子

いのししや中野で遊び夢心地
まち子

【2019年9月句会】
兼題
「コスモス」「風」「踊り」

小鳥来るフランチェスコの眠る間も
白杖のひとを停めたる秋桜
川音や銀河の橋に経つめまひ
講師:佛渕 雀羅

七夕や願いの海にながすうた
久枝

子が走り母が追い行く小鳥かな

コスモスと呼ばれし友はもういない
まり子

七夕や時代遅れの令和なり
朝子

七夕や父・母・猫と天空に
聖夫

みちのくやコスモス街道美食旅
寿江

スマートに風と踊るはコスモスか
千代子

七夕や今年の願いひとつ増え

七夕や兄と手つなぐ天の川
圭子

小鳥来る水は楽しく藻は柔く
淳子

信濃時や秋桜の風星の音
まち子

【2019年7月句会】
兼題
「真夏」「蝉時雨」「梅酒」

靴紐を結ぶ隣に真夏かな
蝉時雨ふたりは向きを変へぬまま
述懐の海に沈んでいく梅酒
講師:佛渕 雀羅

佇んでゐたり夕日の蝉時雨
久枝

昼下がり雨音散らすせみ時雨

氷川丸真夏の海のランチかな
まり子

自家製の梅酒土産になりにけり
朝子

長梅雨やピアノの音も冴えぬ日々
聖夫

真夏日やここも思案の歩道橋
寿江

下船する身に新島の蝉時雨
千代子

黙(もだ)す日となりぬ真夏の交差点

焼肉の幸じゅうじゅうと蝉時雨
あけみ

瀬戸内の海にこぼるる蝉時雨
圭子

歩いても歩いてもなお蝉時雨
淳子

星空や永遠に世のあれ蝉時雨
まち子

【2019年6月句会】
兼題
「梅雨晴間」「紫陽花」「枇杷」

総菜を探し歩くやや梅雨晴間
あぢさゐに触れて戻りし猫の鼻
来客の声しづかなり夜の枇杷
講師:佛渕 雀羅

昼暗し濡れて色増す七変化
久枝

枇杷狩りやどんどんたまる種の山

館山の風に吹かれて枇杷ジュース
まり子

通院の階下びわの実十数個
朝子

猫ともに窓辺に伸びて梅雨晴間
聖夫

あるじなき家に青枇杷落ちており
寿江

振り返る谷中段々びわたわわ
千代子

豆腐屋の笛ゆく路地や梅雨晴間

おしゃべりと皿いっぱいの枇杷の種
あけみ

丸刈りや皆んな笑顔で社宅びわ
圭子

あじさいの青君の色移りゆく
淳子

梅雨晴や人魚の出づる川のこと
まち子

【2019年4月句会】
兼題
「土筆」「さくらもち」「うららか」

よく泣きし母なり夜の土筆煮る
両の手に持たされてゐるさくらもち
うららかに禁煙をいふ友なりき
講師:佛渕 雀羅

うららかや紅茶片手に庭に出る
久枝

うららかな陽射しを浴びて猫あくび

うららかや猫が先ゆく墓まいり
まり子

塩漬け葉味引き締める桜餅
朝子

子猫らの名付け親たりニボにヌボ
聖夫

野道ゆく園児手に手につくしん坊
寿江

仏壇の香りかすかにさくら餅
千代子

やったよと土筆三本かかげ見せ

うららかや衝動買いの迂闊者
あけみ

兄と手をつなぐ道なりつくしんぼ
圭子

うららかやクロワッサンを割る朝
淳子

つくしの子袴で競うせい比べ
まち子

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