「俳句教室「かもめ句会」」カテゴリーアーカイブ

かもめ句会作品集(2022年度)

【2023年3月句会】

三月の兼題
「彼岸」「卒業」「おぼろ月」

微醺(びくん)しておぼろ月夜の街泳ぐ
鳩は首を立てて急ぎぬ卒業歌
茶柱の揃うふたりや彼岸寺
講師:佛渕雀羅

終電車窓の外にはおぼろ月

主婦卒業友とおしゃべり日暮れ時
久枝

猿沢の池に映しておぼろ月
紫苑

うとうとと思い出うかぶ朧月
寿江

ただいまと夫(つま)の背やさしおぼろ月 

卒業や風に吹かれて袴の娘
圭子

おぼろ月比翼の鳥の道しるべ
まちこ

うす絹をかけし街なり月おぼろ
詠子

梅散りて桜ほころびおぼろ月
貴子

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【2023年2月句会】

二月の兼題
「春浅し」「わかさぎ」「薄氷(うすごおり・うすらい)」

浅春の風に追はれて地下の街
手渡して戻して消ゆるうすごほり
雪の上にわかさぎ棄てて置かれけり
講師:佛渕雀羅

初恋ははかなく溶けたうすごおり

野菜畑葉裏に光る薄氷
久枝

春浅しもう出会えない人は何処
紫苑

春寒し春の歌から春招く
聖夫

春浅し爺婆笑顔集会所
寿江

薄氷を鏡にみせてのぞく我 

薄氷つま先載せて奏でけり
圭子

春浅し貴船神社の手水かな
まちこ

ワカサギの釣り穴残し河口湖
詠子

鳥小屋を作って枝に春浅し
貴子

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【2023年1月句会】

一月の兼題
「今日の春」「春着」「初夢」

初夢の象の鼻より万国旗
湯の中に伸びる手相や今日の春
春着の娘拡がり街は羽の中
講師:佛渕雀羅

初夢は初めてできたさかあがり

一同の笑顔そろって今日の春
久枝

初夢やここは二風谷(にぶたに)アイヌの地
紫苑

晴渡り音も静かや今日の春
寿江

初夢に身ぶり手ぶりの母がいる 

娘に春着兄に水色写真立
圭子

初夢や月面宙返りピョン
まちこ

初夢の笑みに水さす夜明けかな
詠子

玄関に靴1ダース今日の春
貴子

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【2022年11月句会】

十一月の兼題
「木の葉」「ストーブ」「熱燗」

「カムイ伝」読み継ぎてをり木の葉舞ふ
スルメ焼くストーブありてみな寡黙
熱燗や女の指はためらはぬ
講師:佛渕雀羅

ストーブを囲む始業の前の顔

ストーブで心温める夜更けかな
久枝

木の葉踏み木の葉色した猫が行く
紫苑

道路鏡写しているや散る木の葉
寿江

熱燗を確かめる父耳つまむ 

熱燗や兄とワンコを抱き寄せて
圭子

小波の如く散るちる木の葉かな
まちこ

表裏風に逆らう木の葉かな
詠子

公園で木の葉拾われ子の髪に
貴子

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【2022年10月句会】

十月の兼題
「冬近し」「紅葉」「稲刈り」

ポケットの中までもみぢしたりけり
稲刈りに行く顔になる午後3時
きゅっと鳴るくつを購ふ冬近し
講師:佛渕雀羅

自販機がホットに変わり冬近し

稲刈りや代々繋ぐ天皇家
紫苑

角の家すっぽり包むつたもみじ
寿江

もみじ背に一句なりたる南禅寺 

子ら遊ぶ紅葉にもみじ紅葉山
圭子

嵐山斜陽に透ける紅葉かな
まちこ

冬近し夕餉の支度煙る窓
詠子

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【2022年9月句会】

九月の兼題
「秋うらら」「いなづま」「かまきり」

稲妻の映し出したる写楽の手
かまきりの蝶に追はるるせはしさよ
万華鏡回し尽くせず秋うらら
講師:佛渕雀羅

ふわふわとかまきり渡るつるべ井戸
久枝

かまきりや生まれながらの拳闘家

秋うらら雲場の池をひと巡り
紫苑

稲光目開きとじて又つぶる
寿江

いなづまの転がりを見る田舎道 

稲妻や背を向く夫にそっと触れ
圭子

いなづまや動悸息切れ一目惚れ
まちこ

かまきりの拝みダンスは風の中
詠子

列長きとげ抜き地蔵秋うらら 
貴子

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【2022年7月句会】

七月の兼題
「青鳩」「夕立」「うすもの」

青鳩や一日寡黙の次男坊
夕立の絞り切つたる歌舞伎町
うすものの人に真向かふ京の旅
講師:佛渕雀羅

夕立や駆け込む軒も今は無く
久枝

夕立ちや君の心に雨宿り

夕立やカフェの音楽曲変わる
紫苑

青鳩か声もかすかな百観音
寿江

お気に入りのうすものはおり友を待つ

青鳩や涙水飲んで今日生きる
圭子

夕立や遊び道具に水踊る
まちこ

父の日や派手な絵柄に困り顔
詠子

青鳩にこがれて今日も夢探し
貴子

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【2022年6月句会】

六月の兼題
「蛍」「父の日」「草茂る」

ほうたるの匂うてのひら隠しけり
父の日や父の字に似る土の文字
草茂る昼間を点す幻灯機
講師:佛渕雀羅

暗闇に蛍光るや部屋の隅
久枝

草茂る休耕田にホームレス

漆黒の川に煌めく蛍かな
紫苑

父の日や家族揃いて祝膳
寿江

父の日や背は温かく音響く
圭子

父の日やこむら揉みつつ三姉妹
まちこ

父の日や派手な絵柄に困り顔
詠子

限りなし旭志(きょくし)の蛍今も尚
貴子

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【2022年5月句会】

五月の兼題
「いちご」「柏餅」「むぎ笛」

真夜中の麦笛鳴つて仕舞ひけり
柏餅いただく高貴高齢者
仕舞ひには鼻で遊んでゐる苺
講師:佛渕雀羅

畑道むぎ笛高らかに鳴らす
久枝

厚切りのトーストにぬるイチゴジャム

麦笛や古墳の前で吹く少年
紫苑

空へ飛ぶ父のむぎ笛一直線

工事場の音を止めたる柏餅
寿江

かしわ餅ピンクは私兄はシロ
圭子

柏餅あんつぶみそのドレス着て
まちこ

むぎ笛は時間を戻すホイッスル
詠子

麦笛の初音の響き耳に手に
貴子

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【2022年4月句会】

四月の兼題
「一番茶」「メーデー」「春日傘」

池鯉のつら出す日なり一番茶
メーデーや丸して消している手帳
あくまでも黒し男の春日傘
講師:佛渕雀羅

寄り添いて日差しをよける春日傘
久枝

メーデーや知らない人と腕を組み

一番茶一人味わう昼下り
紫苑

カタクリを訪ね湖畔の日向道
聖夫

春日傘つい柄を見る空をみる

一番茶供えて今日の無事祈る
寿江

メーデーや炊事洗濯ママは何処
圭子

メーデーや希望職種はテレワーク
まちこ

銘菓さえ脇役にする一番茶
詠子

幾度目か墓参の準備春日傘
貴子

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