【2024年1月句会】
一月の兼題
「新年」「鏡餅」「数の子」
数の子は酒の肴となる十日
あかぎれも黴も育たぬ鏡餅
新年の能登の軋みを聞く夜かな
講師:佛渕雀羅
新年や父の形見の着物着る
毅
重箱のセンター奪う数の子ぞ
詠子
新年や押すな押すなの成田山
紫苑
数の子や思い出を噛む黄金色
圭子
子が巣立ち小さくなるや鏡餅
貴子
新年や孫の差し出すプレゼント
寿江
家族総出丸く象(かたど)る鏡餅
まちこ
大好きな数の子パリッと家事弾む
栄
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(12月はおやすみ)
【2023年11月句会】
十一月の兼題
「鯨」「冬りんご」「冬の朝」
潮騒に交じる鯨の寝息かな
デコトラの窓際に照る冬林檎
空海の風の字が鳴る冬の朝
講師:佛渕雀羅
小魚の群れごと食べる鯨かな
毅
水際で鯨に乗れど又落ちる
久枝
アラスカの海や鯨の通り道
紫苑
みちのくや鯨しぐれ煮の土産
寿江
おろしたてスリッパ硬し冬の朝
栄
クジラ雲鳴いて兄さん呼んどくれ
圭子
千の雪眺めて育つ冬林檎
まちこ
回復を共に見守る冬りんご
詠子
吾子の手に余るりんごを持たせやり
貴子
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【2023年10月句会】
十月の兼題
「秋深し」「銀杏(ぎんなん)」「にごりざけ」
出窓なる猫のいびきや秋深む
銀杏の弾けてよりの酒宴かな
忘れゐし朝のなぞなぞにごり酒
講師:佛渕雀羅
忘れたきことの数々にごり酒
毅
秋深し海の色さえ変わりゆく
久枝
秋深き平家の里の静けさ
紫苑
大寺や箸で銀杏拾ってる
寿江
外苑のカフェに銀杏忘れもの
栄
秋深し行成の書に会いに行く
圭子
銀杏は若草色の空すめり
まちこ
肩を組みなつかしき顔にごり酒
詠子
寝る前の今日のご褒美にごりざけ
貴子
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【2023年9月句会】
九月の兼題
「ほうせんか」「さつまいも」「秋祭」
鳳仙花空の広さを極めけり
尻らしきところもありぬ薩摩芋
ノンアルの酒量に湧くや秋祭
講師:佛渕雀羅
おとなりのたねが不時着ほうせんか
毅
窓際の風にゆらゆらほうせんか
久枝
さつまいも茶巾絞りでちょっとシャレ
紫苑
秋祭り法被の似合う嫁姑
寿江
ストールを巻きなおす君秋まつり
栄
モンブランスィートポテトみんな芋
圭子
爪染めて少女に変わる鳳仙花
まちこ
秋祭りお面のキャラでブーム知る
詠子
ほうせんか足下でまたはじけおり
貴子
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【2023年7月句会】
七月の兼題
「胡瓜」「油蝉」「夏の果て」
夜泣きする赤児はおらず油蝉
こころゆくまで曲がり切る胡瓜かな
夏終る写経の文字の柔らかに
講師:佛渕雀羅
夏果やうち捨てられしゴム草履
毅
声絞り葉裏で鳴くや油蝉
久枝
夏の果て避暑地寂しくなりにけり
紫苑
海山の静かになりぬ夏の果て
寿江
キャンプ場胡瓜シャキシャキ胸で聞く
栄
水晶のピアスを外す夏の果て
圭子
手を繋ぎ砂丘駆けおり夏の果て
まちこ
砂浜に髪留め残し夏の果て
詠子
夏の果てジグソーパズル部屋の隅
貴子
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【2023年6月句会】
六月の兼題
「海亀」「さみだれ」「どくだみ」
ひるがへる時海亀は海の蝶
さみだれや水琴窟の中の騒
もてなしやドクダミ料理うず高し
講師:佛渕雀羅
海亀の思いがわかる妊婦かな
毅
海亀に乗って遊んだ遠い日々
久枝
海亀や孵化して皆で竜宮へ
紫苑
五月雨の屋形船にて巡りけり
寿江
五月雨や人待ち顔の蛇目傘
圭子
海亀に眠るモザイク遺跡かな
まちこ
五月雨を窓越しに見るジャスミン茶
詠子
どくだみ茶作りし友は今いずこ
貴子
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【2023年5月句会】
五月の兼題
「バラ」「泉」「ちまき」
乾き切るまでの矜持を白薔薇
朝影の泉に音の崩れけり
糸で切る粽を分けてゐる小家
講師:佛渕雀羅
手間かけしちまきで祝う初節句
毅
ちまき食べ背を計った兄は無き
久枝
バラ園や香りの中で同化する
紫苑
夕飯の買い出し急ぐ路地にバラ
栄
薔薇園や花の数より人の数
寿江
薔薇園や色とりどりの傘の華
圭子
オフィーリア泉に浮かぶ花言葉
まちこ
この恋をコインにたくす泉かな
詠子
ブティックに薔薇のアーチや友と会う
貴子
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【2023年4月句会】
四月の兼題
「花冷え」「雀の子」「草餅」
おびんづる様の目つむる花の冷え
まろぶこと先づ一番に雀の子
福耳の大仏ならむよもぎ餅
講師:佛渕雀羅
花冷えもあなたのうでのなかならば
毅
草餅を食べては母を思い出す
久枝
草餅や鼻をくすぐる蓬の香
紫苑
雀の子庭の三羽にまた一羽
栄
草餅に足速となる帰宅かな
寿江
庭先に我を待つのか雀の子
圭子
花冷えや初恋に似た心電図
まちこ
病には触れぬ見舞ひやよもぎ餅
詠子
花冷えの中の正座や一人ゴザ
貴子
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