- かもめ句会作品集(2024年度)
- かもめ句会作品集(2023年度)
- かもめ句会作品集(2022年度)
- かもめ句会作品集(2021年度)
- かもめ句会作品集(2020年度)
- かもめ句会作品集(2019年度)
- かもめ句会作品集(2018年度)
【2021年3月句会】
兼題
「雪解(ゆきどけ)」「はくれん」「四月馬鹿」
はくれんや路地に秘密の道しるべ
雪解けやつつく傘持つ二年生
つつしみを守り切つたり四月馬鹿
講師:佛渕雀羅
嘘にうそ重ねていたる四月馬鹿
久枝
雪どけや小股歩きで一歩ずつ
毅
はくれんの花びら光る遊歩道
まり子
俳句詠む一等賞の四月バカ
朝子
雪解けに泣きそうになる雪だるま
聖夫
優勝はまことの文字か四月馬鹿
多恵
空晴れて雪解水の水車小屋
寿江
はくれんの病室に照る希望かな
圭子
待ち合わせして雪解けの音知りぬ
淳子
セピア色雪解まぢか口ずさむ
まちこ
* * * * * * * * *
【2021年2月句会】
兼題
「春さむ」「梅が香」「蕗味噌」
金継ぎをして蕗味噌の出番かな
春寒や緑の瓶の置き所
梅香る夜風に迷路めきし街
講師:佛渕雀羅
臘梅を見続けて頬つめたかり
久枝
ふきみそや父は熱燗母御飯
毅
梅が香に誘われそぞろ歩きかな
まり子
畳目の一目づつ春伸びてくる
朝子
春寒し長病み肩を深々と
聖夫
散歩中梅の香に足止まる
多恵
一日終えちびりちびりの蕗の味噌
寿江
春さむや洒落着で通すひとのうた
栄
梅の香や花を愛でるか実を待つか
圭子
店先の蕗味噌舐めるバスハイク
淳子
梅が香や気まま楽しむつがい鳥
まちこ
春さむや夕暮れ1人急ぎ足
詠子
* * * * * * * * *
【2021年1月句会】
兼題
「元日」「福寿草」「笑初(わらいぞめ)」
元日の風を馳走の喫茶店
陽の当たる窓に引越す福寿草
ひかえめな会食ばかり初笑
講師:佛渕雀羅
笑初マスクがかくす紅のあと
久枝
元日や一番に起き炭おこす
毅
笑初猫も座ってテレビ見る
まり子
元旦も一人で聴いているラジオ
朝子
我が誤字の五字に及びて笑いぞめ
聖夫
しあわせの約束をする福寿草
多恵
日の中に水をよろこぶ福寿草
寿江
ホラここと名告りを上げる福寿草
栄
元旦の風呂屋に仰ぐ鶴と富士
圭子
元旦の洗濯物や冷えキリリ
淳子
正月や綿菓子積もる銀世界
まちこ
コロナ禍や街に人なきお元日
詠子
* * * * * * * **
【2020年11月句会】
兼題
「立冬」「大根」「目貼り」
大根を横抱きに来るあねいもと
目張りしてより熱くなる映画論
ひびの入る空吊るされて冬立ちぬ
講師:佛渕雀羅
目張りしてブルーシートで生き延びた
久枝
立冬や遠くの音に耳澄ます
毅
大根の簾の如く吊られをり
まり子
障子貼り隙間に目貼り冬支度
朝子
俳優の吾れを忘れて大根炊く
聖夫
大根の千枚漬の京の白
美子
子供らと文字遊びして目貼りする
多恵
目貼りして又目貼りして過ぎる年
寿江
立冬や仲間と交わす暖かさ
千代子
大根葉ふりかけになり朝をまつ
栄
目張りして生き延びているコロナかな
圭子
浮世より流るる香り目貼りする
まちこ
ラジオより立冬と聞く日向かな
詠子
* * * * * * * **
【2020年10月句会】
兼題
「南京豆・ピーナッツ」「松茸」「はだ寒」
坐っても車窓の友のピーナッツ
松茸の土瓶にひそむしめやかさ
肌寒や上野の森のたちんぼう
講師:佛渕 雀羅
母の手にピーナッツむいてのせるかな
久枝
はだざむや自販機に押すホット缶
毅
慶州や焼き松茸の香る路地
まり子
落花生さやもふっくら双子だね
朝子
肌寒や一つ枕に吾と猫
聖夫
松茸は高嶺の花や丹波山
美子
つぶつぶのピーナッツたべてブツブツに
多恵
バスの旅南京豆の土産つき
寿江
落花生ポツリくとテレビ見る
千代子
ピーナツで進む昼酒夫笑顔
栄
松茸やエノキご飯に香りつけ
圭子
うすかわの羽根はえているピーナッツ
淳子
松茸や祖母と漂う土瓶蒸し
まちこ
蔓(つる)を引く南京豆に地の香り
詠子
* * * * * * * **
【2020年9月句会】
兼題
「葡萄(ぶどう)」「十五夜」「虫しぐれ」
デラウェアの迷路に迷う懈怠かな
頭上より降り来る街の虫しぐれ
黒猫が来て十五夜のにぎやかさ
講師:佛渕 雀羅
路地裏に虫時雨おく屋台酒
久枝
座禅する庵の外の虫時雨
毅
十五夜や平家盛衰琵琶語る
まり子
爪切った夜空十五夜笑ってる
朝子
トンネルを抜けて甲州ぶどう境
聖夫
マスカットワインに甘きクラシック
美子
十五夜に負けずおとらずむくみ顔
多恵
手量りで思案するなり葡萄狩り
寿江
十五夜の月を知らせて来たる友
千代子
雨上がり窓を開ければ虫時雨
圭子
手のひらのブドウの房の宇宙かな
淳子
コロナ禍や葡萄七色貴腐ワイン
まちこ
十五夜に団子丸めてはしゃぐ君
詠子
* * * * * * * **
【2020年7月句会】
兼題
「日盛り」「夜蝉」「百物語」
国会や百物語二百まで
香箱の向き変はりをり夜鳴蝉
置き去りになる日盛りの三輪車
講師:佛渕 雀羅
日のさかり靴あと残るアスファルト
久枝
百物語覗いてみたいよみのくに
毅
夜蝉なく人影もなき屋敷町
まり子
日盛りや貯水池は子の遊び場所
朝子
夜の蝉半鳴きしてはそのままに
聖夫
一日終え百物語夢に見て
寿江
百物語我も仲間の一人かな
千代子
存分に鳴き続けての蝉の夜
榮
毎日が百物語この世でも
圭子
リモートの百物語窓の闇
淳子
夜蝉鳴く月に願いし更年期
まちこ
日盛りにパラソルの花咲きほこる
詠子
* * * * * * * **
【2020年6月句会】
兼題
「チェリー」「かび」「田植え」
黴匂う地下に聴きたるコルトレーン
うつくしき約束のありさくらんぼ
牛の瞳(め)をまぢかにしたる田植かな
講師:佛渕 雀羅
夫婦して昔ながらの田植えかな
久枝
ステイホーム心にかびがはえてきた
毅
天皇家代々つなぐ田植えかな
まり子
雨だれにカビの出てくる藁屋かな
朝子
田植え唄なき田植えする機械かな
聖夫
千枚田田植え賑わうボランティア
寿江
背嚢(はいのう)やかびを育てる残り物
千代子
もたいなやカビを取りつつ捨てるパン
榮
さくらんぼ来世も兄と妹に
圭子
田植えして等間隔のディスタンス
淳子
あれからのガラスの靴やカビの花
まちこ
いそがしい日を口実のパンのかび
詠子
* * * * * * * **
【2020年5月句会】
兼題
「夏来(きた)る」「ちまき」「若葉」
あくまきや海鼠(なまこ)の夢を半ばまで
手を振れぬ別れなりけり若葉中
夏来るやジーンズ店の空光る
講師:佛渕 雀羅
ちまき手に背丈をきそう柱泣く
久枝
雨上がり窓の外には夏来たる
毅
緑濃し若葉しげりて屋根を超す
まり子
ふるさとの山一斉に若葉中
朝子
あんこ嫌い我がちまきには黄粉つけ
聖夫
まどろみの眼鏡上げるや夏来たる
寿江
トンネルを抜けて欅の若葉かな
千代子
青空に背くらべするネギボウズ
榮
夏来たるボンキュッボンに思い馳せ
圭子
後ずさりする光あり夏来(きた)る
淳子
縁側に母の笑いやちまきの葉
まちこ
赤信号待つ手に上着夏きたる
詠子
* * * * * * * **
【2020年4月句会】
兼題
「春日傘」「葱坊主」「夜桜」
くらやみに息揃へゐるねぎ坊主
肩に猫乗せて回りし春日傘
夜桜のそこだけ熱を持つ樹の根
講師:佛渕 雀羅
寄りそってなぎさを歩く春日傘
久枝
嫁ぐ前つばひろ帽に春日傘
毅
コロナにもまけずに育つ葱坊主
まり子
幼き日畑の隅に葱坊主
朝子
深谷村見渡す限り葱坊主
聖夫
買おきの袋の中のねぎ坊主
寿江
夜桜や場所取り先にコロナアリ
千代子
夜桜や娘と並ぶ風呂帰り
圭子
旅先の開く間もなし春日傘
淳子
葱坊主何処まで届く宇宙の子
まち子
手つなげば夜桜の冷えここちよし
詠子
* * * * * * * **